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「自分たちは日本人になるの?」
様々な疑問と違和感に包まれたのを覚えている。

[ 垣花みゆき(「書評ライター養成講座」受講生) / 2015.02 ]

2014年01月発行
新城和博 著
ボーダーインク 刊
新書/200ページ
1,000円(税抜)
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ぼくの沖縄〈復帰後〉史

新城和博 著

ページをめくると「どこでもドア」の気軽さで、懐かしい時代にタイムスリップできる本を見つけた。「ぼくの沖縄〈復帰後〉史」(新城和博著 ボーダーインク刊)だ。

本書は著者の復帰してからの思い出をたどっていく内容だが、読んでいると自分の記憶も芋づる式に手繰りよせられていく。
少し色あせてはいるけど、自らの記憶もちゃんとカラーで脳裏に浮かべることができた。

私は小学校の時、先生から沖縄が祖国復帰することを聞かされた。

「沖縄が日本になるってよ」

子供心にセンセーショナルな出来事だと察知しつつ

「自分たちは日本人になるの?」
「じゃあ、今までは何人だったんだろう?」

様々な疑問と違和感に包まれたのを覚えている。

そんなグラグラなアイデンティティーのまま、復帰の日はやってきた。
そして、スマイリー(ニコニコマーク)の黄色い下敷きとペンケースが全生徒に配られたのだ。
それまでは全員に配られるのは運動会の賞品として配布された地味なノートくらいだったので、サンタクロースのように気前のいい、そして、なんとなく上等な感じの日本国の計らいに、イイコトあるような期待感が生まれたのを思い出した。

新聞掲載のデータを絡めた時事ネタは資料価値もあり、曖昧な自分の記憶に筋道をつけてくれる。
さらに、おきなわポップカルチャーに詳しいというか、それを作り上げた!ともいえる新城和博氏のコラムなので 政治ネタや労使抗争の話も重苦しくなく、さらりと読める。
彼の記憶をとおして、懐かしい音楽や街の景色にも再会できた。

沖縄が日本に戻ってから、40年以上たった今、私のアイデンティティーは紛れもない日本人であり、その中心、根っこはウチナーンチュであると揺らぐことなく言える。
沖縄は祖国日本に復帰したはずなのに、魂は同化できていない。

間違いなく、沖縄の祖国復帰はまだ完了していないんだと思う。
私自身の復帰後史はまだ、続く。

新たなページに記される内容は、私たちが作っていくのだ。

※この書評は、「平成26年度 書評ライター養成講座」の課題として受講生から提出された原稿を、講師の添削・指導のもと、加筆・修正して掲載したものです。
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