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沖縄本の歴史を振り返ります。
はじめに
宮城一春(編集者・ライター)/2013年
敗戦から68年、復帰から数えても41年が過ぎ去ろうとしている。この間の沖縄の変貌ぶりには目をみはるものがある。沖縄戦はおろか、復帰を知る世代も少なくなってきた。日本化の潮流の中、政治・経済・文化、さまざまな意味で、沖縄や沖縄らしさというものが変化してきているということだろうか。出版というジャンルを見ても、この六十数年、たくさんの本・さまざまなジャンルの本が産み出されてきた。が、その歴史もまた、この沖縄という土壌の移り変わりや土着性を体現しているといえるのではないだろうか。
沖縄は出版王国とまでいわれ、全国的にも注目されている。しかし、そこにいたるまでには、沖縄戦によってすべてを破壊され、無の状態から本を出版してきた先達の苦労なしには語れない部分も大きい。ここでは、現在の出版界の基礎を築き上げてきた先輩の方々に敬意を払いつつ、出版のエポックメーキングとなった本たちを年代別に大まかに取り上げる形で、沖縄出版界の流れを追うことにする。
出版点数が多いにも関わらず、読書人口の少なさがいわれてきた沖縄。最近では、デジタルの世界となり、活字の書籍から、デジタルの電子書籍の話題も多く世情を賑わせるようになってきた。本を読まない人口が多いにも関わらず、本を出版したいと思う人々が多いとも評されてきた沖縄。
県産本の歴史を追いながら、これからの出版の世界を考えてみたい。